まぶしい。
初めてまみえたにしては、ほとんど暖かいような。
降る銀が、一切の足跡をすでに染め変えていた。
何も見えない。
邪魔というものが、もう何も。
一面の銀世界は、ほとんど、あんたのようだと思う
「似ていると思う。あんたに」
「………一部の記憶が飛んでいるように思えるが」
「?」
誰も踏んでいない、新雪。
みだれの存在しない風景
樹木をいろどる青みすら帯びそうな重さが、陽を弾いて、まぶしい。
煌めきの質は、すべての異臭を消し去ってひさしい世界
「そよとも風が吹かない。それすら、神の世界を体現しているようで……」
無風すら
心地よいと思えるのは雪景色だけ
それでも微動だにしない銀髪を、どこか奇異に思う
しん、と動かざる世界
誰の手指も描き変えない、世界
「なにか、おかしいだろうか」
俺の顔に何か、と言いかけて、やめる。
………..不意の強風でも、崩れそうな。
この晴れた凪を心から、待っていたのだと、思えるのに。
ふ、と時折、背がつめたい気がするのは以前の感覚……….?
樹氷と白い氷の煌めきを、つくづく、あんたに似合うと
澄む以外にすべのない完璧な銀世界に
微風すら寄せてこない 完全な調和に
ようやく深く息を、吸う。
さら、と黒髪がこぼれ落ちて気づく。
この髪質だったか、さだかではない、引っ掛かり。
「それで、あんたは」
「どうやら完全に忘れている、か。それなら…….」
ふ、と息をつくところが、不思議と誰かに似通うような。
どこかで仰いだような。
顎のかたちを、どこかで?
仰ぐ、という心地よさに
不意に胸痛が忍び込むようでわずかに顔をしかめた。
……..なぜ。まなざしが尖る?
せめて腕を伸ばさせる、前
傷のない手指をのべる
どこか遠い金切り声も、
幻として。
やがて寄せるはずの金切り声を
今は追いやって。
「来るか、一緒に」
この光景をすら
約束の地平と、おまえが、言うのならば。
ふ、と銀糸が陽光を浴びて、なびいてゆく
さしまねく腕が、しずかに輝く雪上に、長い影を描いて。







