光を宿している石が
「光をどれだけ宿しておけるか」
「ひかりをどれほど保持しておけるか」 が 「宝石の健やかさ」と ほとんど同列/同表現です。
ルビー(暗い紅)は 「ひからない」
「春の花のような、白い花のような。闇から浮かびあがる白さの象徴のよう」ひとに
ルビーが、どれほど「せせらぎ/翡翠」に、似あっていないか
友人から贈られたことはなく
案内メールが来たこともなく
電話があったこともなく
ルビー、紅宝石を身につけたアー写もないです。ご承知おきください。
不必要は「RUMI KOUMORI AKAI」です。それと「DOG西條🐕」
散歩中の犬、蹴れないですけれどね(涙)
ーーー
「君にルビーを勧めたことはなかっただろう?」
「翡翠くん。君ほど、暗い石を身につける必要がない子も少ないと思うけど」
「耳の翡翠以外に、ちょっと気になる石はある?」
ひからない石は無視していいよ、と、のんびり悪戯に笑う瞳に
遠いような、少しばかり懐かしいような。
ひさしぶり、という単語を飲み込む。
「気になるのだが、先日もう事実は話してあったと思う。
マクシミリアンにも了承は取っている。なぜ、まだ ”翡翠くん” 呼びなのだろう?」
「ああ、ごめん。軽くワインで酔っていたから…..なんだっけ、南の出身がどうたらこうたら出自の確認?」
初めて聞かれるかもしれないが。俺が南里主人の子であったこと。
女人宮で育ったこと。 記憶に定かではない部分はあったけれど、それでも
男子禁制の宮にいられた経験は時折蘇り、女官たちに当時から何の身構えも気構えもなかったことは
変わらないように思う。おそらくは母が強かったのだと…….。
「俺は、たぶん ”細工を掘られる材である翡翠” とは無縁。それと…….」
…………この一人称も、もう習い性。
小さくくちびるに乗せて、静かに少し笑った。長すぎて直らない。
わたし、という喋り方はどうにも銀灰に先に攫われている。
いまさら、別の一人称に変えることは どうにも難しい。
わたしという口調が「龍」を彷彿とさせすぎて、いけない。
「ん? この赤い石、そもそも嫌いなんだって? マクシムからそこだけは聞いてるよ」
「ずいぶんクセの強い姉弟を、目にした。佇む姿が重なって見える気がする」
「さっきからこんなに控えめな大きさでも、ずいぶん厭わしんでいるよね。そんなに嫌な色かな」
「似て見える。先日の姉弟の、どちらにも」
寒くなる感じが、あるだろう。触れなくても。
「僕には平気でも……って、今言おうとしたんだけど、降参。確かに、この石と装飾は君には合ってない」
「今度、訪ねることになるかもしれない場所に合わせて検討をと言われていただろうか、あの男に」
合わない石を勧める役回りを、どうして、とため息になる。
あの銀灰から、
重ねて、こちらが身につける意志がないか確認を取るよう言われていたのかもしれない、と
妙に、すっきり諦め顔の「友人どの」をまっすぐ見すえる。
いらないものは欲しがらないよね君は、と、嘆息つかれることに慣れてしまった気がする
「紅の石は、すべて遠慮しておく。もとは誰かの指先や手首を飾っていたとしても」
ごめんこうむりたい、と。
硬い口調になるぎこちなさが、あくどくない友人どのに、どこまで伝わるだろう、
いらないと叩き返す手間を省きたい、と、ため息をついた。
…..あの男は。どうしても身につけさせたければ
「ご友人どの」に勧めさせる、説明させる、なんて手間をかけるまでもなく
押し付けてよこすだろうに
無意識に。
ほんとうに無意識に、手指がみずからの左耳朶に添ったのは、なぜ。
ーーー
「断る話ばかりで、すまなかった。それでも俺の補強をしていた翡翠が、疲れてしまっているのは事実のように思う」
「治るかなぁ。付き合い長いよね、翡翠。それこそ、他市の祈祷所にでも持ち込むのが以前の君だったろうに」
「そういう、まじないの類にほとほと疲れた。以前なら……祈祷師がいる街か」
金額だけを、こちらからせしめなければ、
その場所から還れない。祈祷を受けろと脅される。そういう話は見かけなかったと思うが昨今
どうにも眉間をひそめる表情にばかり縁がある、と苦笑。
「ああ、ローズクォーツ。その石は元気になったことがあるよね」
「半貴石という分類だそうだ。だが洗い清めには、要る」
「そういう宝石店、多いよね。分からなくもないんだけど………」
君が回復するために、
なまじ普通の宝石店の、巨大ローズクォーツが実際必要かどうかは、ちょっと怪しいね、と
「早い話、きみ自身が宝石みたいなものだよ。ちゃんと持ち主だって選べてるんだから。なんなら休養は君が」
「友人どのも」
窓からの陽射しをまぶしがらないだけで、じゅうぶんに、友だと。
「気に入らない品は全て、いずれ手元から消えるよ。他のひとが欲しがるでしょう?」
「そういう旅も、疲れて……..」
「だよね」
ーーー
ほとほと、けわしい困り顔になるのは
”ご友人どの”に出会った頃まで 一度も聞くことのなかった言い回しが、近頃増えすぎたせい。
(握りしめた金額でそのまま売って欲しい、とは、中華飯店の話か、と疑うだろう)
それください、それください、そっちもください、全部ください、
それは、およそ、「ご友人どの」から聞いたことのない台詞。
もちろん口にしたことがない言葉。全品一度に譲れ、とは正気の沙汰とは思えない
そちらを思いきって譲ってくれんかの、も、ご冗談を、と俺ならば
苦笑で言えばいいのだと気づいた。さして変わらない言葉で問題ない
この午睡中のシャツ姿の「友人どの」に、およそ似合うわけのない台詞が今まで多すぎた。
似合っていもしない黒装束相手に、朗らかにあれやこれや新作を提案するのも
ずいぶん骨が折れそうな仕事と予測されてならない。
「もうちょっと昼寝していて構わないかな」
なるほど眠ったふりが上手、と感心しながら
もちろん、と呟き返した。
あたたまる机を愛しく思う。
冬の日差しは時折、思いがけないほど、強い。ふちどられる髪質に心が安らぐ
このメモ紙片の値段に負けやがれ、も、
婚約者に告白するには今日なんだ! も、そうやって握りしめた銀貨が、そもそも婚約者殿に見合う価格でもない。
この価格になるまで居座る、も、ぜひ全部ゆずっておくれ、も。たちどころに陰った宝石に
こちらの双眸まで暗くなるのを止められない。石が避けている、それは占術家も気取っていたはず
……骨が、折れる。
あんたの「ご友人どの」を見習うとすれば。ふさわしい品だけが、ふさわしい相手に引き合ったときに。
そうやって生きてきたのは事実なのに、と、ふと本当に
苦渋より
寒さのほうが強い。日差しは異国のやわらかな髪を暖めているのに、なぜ?
(たぶん銀灰が近い)
頭痛がしてくる
ふたりで話をと勧めた本人のくせに、機嫌が悪いような。
こちらの次男坊に
くらく赤い石、およそ似合わない色の石案内をさせた銀灰も先日来
なにか生気が、奪われていたような気がしてくる。いらない装飾ばかり目にする必要はないだろうに
興味のない石の話など、あんたらしくもない。
「売ってはならない相手が存在することには、とっくに、気づいている性質だろう」
おおよそ、はてしなく この宝石商の次男殿には
似つかわしくない。言い値で売るまで帰らない客など、もとから論外。花路になりすました客も
翳りばかり多いはず。思考がずっと、午睡の頬に落ちる。
「……….客商売というものも、あまり向いてらっしゃらないとお見受けする」
(勧めたい光を、はなから似あっている良客にだけ声をかければいい)
いっそ、あの銀灰相手に売りつければいい気がしてきた。
悪趣味と見えた品のあらかた、すべて買い取らせるのはどうだろう
その気ままを、あの銀灰が
素直にうなずくものだろうか。「あの相手には売らない」と「お引き取り願おう」を。
少しだけ傾いた日差しに暖められるばかりの寝顔に、光はじく髪先に、くす、と、久しぶりに
きちんと笑えた気がした。寝たふりではなくなっている。
「良い時間に、礼を」
「本土からの菓子を開け、茶でも喫していたか」
優雅だな、とため息つかれることに
先日までの何が優雅、と軽く睨み返した
廊下まで漂う茶の香り。
そういえば菓子箱を開けた時の香りも強かったような
…….あんたに合うような茶葉を、と
それぐらいの悪戯は許されるような気がしていた
「あんたがめくじら立てるとも思わないから」
しなやかな指が茶杯を取るさまを眺める。湯を足す前の茶が、甘さに過ぎる。
ふわ、と左頭に添えられた手指に瞼を伏せた。
さて、誰を連れて。
新規開店場所候補に、こちらの次男坊を連れて赴く話すらも、もともと気は進まない。
ーーー
あとがきに代わって。あとがき代わりに。
南里の「怪しげ祈祷師」「あやしげ黙祷師」「買い占め占者」など、ひしめくエリアに
足を踏み入れることが、本人も、クレイも似あっていない 消耗しすぎ と今頃気づく著者でした。
ちなみに「血の色」が良きとされる赤い石は
生涯、持つつもりがありません。
似合う女性はいらっしゃるでしょう、で置いておきます
贈られても、返品いたします。







