「また小さいのに懐かれているか…….また、多いな」
「母猫と間違えられることが多い。なぜだろう」
「気が多い…….とは流石に言えもしない。一方的に懐かれている」
「無性に、愛しく思える。母親に見える理由は解せないのだが」
自然に苦笑しながら、あんたも1匹、飼ってみるか、と
ひさしぶりに何の翳りもなく微笑みかけてみた。長い手指に、比較的、しっかりしている子を置いてみる。
案の定、たちどころに逃れたいわけでもない様子を確認する
「まだ、どの子も同じような身長なんだ。名もこれからの子に、名付けてみないか」
「考えておく。街の主人に似て性悪な児童に育たれるよりは、いいだろう」
毛並みは悪くない、と、言われることが最初から分かっていた。
微笑む。あんたに似た児童を育てあげる気概はない、だから
何の重荷にもならない無垢な重み。
ミャアミャアミャアミャア
か細く泣き続ける甘えぶりを「行かないで」に置き換えれば
「おいそれと出かけられない。早く帰ろう、と自然に思える」
目が離せない、それくらいしかあんたに似ていないけれど
数時間も手が離せないこと、行方不明になられては困ること。そして外においそれと使いにも出せないこと。それすら
「何を考えている」
「…..おかしい」 苦笑が止まらなくなったらどうしようかと思う
笑みを噛み殺せず、片手で顔を覆った。遣いにも出せない街の主人、とは。
ミャア、と呼びかけられた気がして
白い衣服に食い込んでいる猫の爪に、やんわり、たしなめる。よいしょ、と心の声は置いて
「爪は隠そう。そのうち慣れると思う」
かんばしく薫る茶以外には、とくに気移りができない性質だったはず。そういう予定だったはずの、この春を。
子猫たちと迎えることが存外、笑顔の秘訣と気づきはじめていた
「…….小さいな。 瞳どころか、その手も」
「成人するまで育てれば、たぶん、四市それぞれも……」
小さなあたたかみと過ごしていれば
たぶん誰の双眸もやわらぐのだろうから。







