Nontitle 7月の水曜へ。日記に似た散文をひとつきり

海へ 

いつか、いつしか伝わるときが来るだろうかと
今この瞬間でなく 今日さっきの会話などでなく
砂を嚙むような電話でもなく

伝わる季節は来るものだろうか?と何度となく
無言の空を仰ぐ性格をしている。時折は。

実際の空が曇りならば

あえて添える写真は青空に変えて書くぐらいのことをする

つたわらない季節を経すぎたと自分を認識するのは
なにも私だけではないのでしょう

なんだって いつだって 一番伝わるべきとき
物事は曲がって解釈されるのは何故なのだろうと

フィルターゼロの人間に会ったことはない。

2021年ですね。透明なフィルターだけ持っているつもりでも

この年を数字で
記入する機会も多いですのに
ふっと「2021という数字」の心許なさ、もとい、実感のなさ?に
一瞬意識をとられるのは、私の個人的な、ごく個人的な

驚きや感慨なのだろうと思っています。

2021って皆様 揺れませんか?
2000。プラス21だと。
そこに不思議はありませんか 全然納得していますか
え?と めまいがする瞬間が私にはあります

いかがお過ごしでしょうか? とても暑くなりましたね

何事も渦中には美しい言葉もうまれず

いつだって濾過された後にしか
煌めきは認識されない

渦中を過ぎたのち
文字が生まれ始めることが私には当然にも
思えるのだけれども

つまりは七月に美しい言葉が生まれはじめるはずも
ないだろうと心の奥から、ごく平然と当然と思っているのだけれど

今まさに渦中であるだろう友にも、
穏やかな歳月に恵まれている友にも、

同じ言葉を告げようとするなら
なおさら 多くの言葉は言えないでシンプルな便りになってゆきます

シンプルな便りには なおさら そこに嘘がないことを願います。

さらにいえば
まして言葉がうまく通じない時の誰かには
魔法のように「今」通じる呼吸や真実というものは
手元の消しゴムの存在感よりも分からなくて

誰の書いた哲学書の全文より何百倍も難しくなって
もしかすると洋書よりも不確かな

限りなく あやふやな手触りに
間違えそうになることがある。

だけれど
「今じゃないから」「たった今が、通じるときではまだないから」

熱や意志が湧き出ないことを

まるで「ほんとう」がないかのように間違える必要はないと感じる

今じゃない それだけの事実に

私に、わたしのほんとうがあるように。
いつだってそうだったことを

今だって在ることは事実で

言葉通じない時期の誰かの
だれの心の鏡にも<ほんとう>は、ある

それがどれほど 誰にも 私にとっても
今は見えない色であろうと

私に本当があるように。
わたしのほんとうが揺らめくように

どれほどの言葉で埋め尽くされた言葉が鳴りやんだ瞬間の
形容されない色を

きっとそれは今じゃない季節にしか
私の瞳にも映らないと知っていて

今みえるはずがないものは見えない

一万語を越えて
空間を埋め尽くす言葉が すべて完全に静まったとき、

いったい人はどんな目をするだろう
すべての文章が動きを止めたそのとき

そんな瞬間 そんな季節
だれかの眼差し が 誰をも 自分をも いらだたずに

時のゆがみや異なりの 事形のすべてを
なんら責めないものであるようにと

伝わらぬこと それだけは伝わらない
伝わっていない それだけがいつも伝わらない

地団駄をふむ心地すら今日このときにないけれど

Coccoさんの作品に重ねていたものは地団駄そのものだと
微笑みながら昔の写真を眺めました

人は願う
みずからが願っていることが解されることを、つい願ってしまういきもの

届いていないといえてしまうことは残酷
届いていないとわかってしまうことも日常

夏の緑が輝きはじめる今
音よりも

そっと無音のページに置いておきます
限りなく日記に似ている文章、

今通じぬことを恐らくは当然と分かっている私から。
誰かの真実をすら 
おそらくは見えていないであろう私から、そっと

たとえば

軽やかな夏空に

ひびかない言葉でも
自分を、忘れないために。

7月の中旬前に   羽鳥

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